独りが不安な年頃になりました


掲載日:2009.11.21

11月も、もう後半。毎年この時期になると感じますが、1年早い!!

 忙しく、色んな事をやってきているのに、結局私は何をしていたんだろうとちょっと虚しかったりします。

 来春、18年間二人で暮らしてきた息子が巣立ちます。若い息子は夢に胸を膨らませ、一人暮らしに多少の不安を抱きながらも、反面、新しい暮らしを楽しみにしているようです。独りぼっちになる、わたし・・・。

 考えただけで涙が出ます。独りの暮らしに慣れるまでにどの位かかる事でしょう。高校の3年間、毎日作ってきたお弁当も、あと一月で終わり。一度巣立っていったら、男の子は二度と一緒に暮らすことはないでしょうから、春までの四ヶ月余り、息子との生活を大切に胸に刻みたいと思います。

 このところ、ヘモグロビンが普通の人の三分の一だとか、食道のアカラシア(食物の通過障害)が進んでいて、食道ガンが怖いから、専門の病院で胃カメラのんでくださいとか、腎臓に結石があるとか、なんだか体的に騒がしくって不安です。若いときはいいけれど、この歳になると私の老後はどうなるんだろうと、誰かそばにいて支えてくれるんだろうかとか、考えて悲しくなることもあります。

 息子と二人、必死に生きてきた今までは、余り考えもしなかったのに、やっぱり結婚っていいなとか、紆余曲折、危機も後悔もあるかもしれないけれど、結局夫婦の歴史、時間をかけて築きあげていくものの大きさを感じます。周りの夫婦がものすごく今、羨ましいです(私のことですから、また心境は変わるかもしれないけれど・・・)。

 先日、札幌市が初めて開いた、男性介護者の集いに取材でおじゃましました。男性で妻を、親を介護している方々が集まって、お料理の勉強をしたり、懇親会で悩みを打ち明けたり、先輩介護者が、最近介護をはじめた方にアドバイスをしたり。長年介護をしている男性は、慣れたのか、しっかりと現実を受け止めているのか、表情も比較的明るく、元気に生活を語ります。しかし、最近介護をはじめたという方は表情も暗く、疲れた感じです。

 ほとんどの方はある日突然、認知症と診断され、夫の顔や名前もわからなくなった妻の介護です。中には53歳で認知症が発症したという妻を、会社を辞めて貯金を切り崩しながら介護している方もいました。経済的な問題、家事、特に一度もやったことのない食事作りをそばにいる夫がしなければならないのです。慣れるまでは、どうしていいやら、また、妻の病状もどのように進んでいくのかもわからず、不安でいっぱいでしょう。

 でも、子供たちも、結婚をして家庭を持ち、ましてや遠くに住んでいたらなかなか協力の手を借りられず、施設に入れようにも空きがない。一番身近にいる夫が介護するよりないのです。

 ある参加者に伺いました。「奥様が認知症になるまで、ご自分が奥様を介護することになるかもしれないと考えたことありますか?」

 「全くありませんでした。家事も子育ても、完璧な妻で、私は家の中のことは一切せず、妻に頼っていました。ある時、もしお前が倒れたら、俺が家事をやらなければならないのだから教えてもらっておいた方がいいんじゃないかと言ったことがあるんですが、妻は、大丈夫、お父さんのほうが先に死んじゃうから。最後まで私がやるからと言っていました。なのに今は、私の顔もわからない。暴れる、暴言を吐く、家事どころか着替えすらできない。元気だった、優しかった、妻がどうしてと思うと悔しいです」と言って、大粒の涙を流されました。

 それが現実です。

 今、男性介護者は、介護者全体の三割近くにまで増えています。独りで大病を患ったら・・・。認知症になったら・・・。どうなるのでしょうか。経済的にもかつかつで、独りで暮らしている、男性も、女性も沢山います。大変でもまだ、夫や妻の存在があったほうが幸せです。これから、超高齢社会を迎える日本はどうなってしまうのでしょうか。

 そして、私もどうなるんでしょうか。考えると憂鬱になりますが、元気なうちに色んな事を多角的に考えて、備えておかなければならないもかもしれません・・・。

 とりあえず、息子のことが一段落したら、考えましょう!!

 [お知らせ] 徳永エリ(家族問題アドバイザー) 「心の相談室」を開設しました。30年間、TVリポーターとして、取材を通して、多くの人と問題に向き合ってきました。夫婦のこと、子育て、介護、病気のこと、皆さん色々な悩み、不安を抱えています。相談できる人がいない、解決の糸口が見つからない。そんなあなたに、私の経験と、人的ネットワークからアドバイスと安心できる情報を伝えたいのです。どんな悩みでもいいです!まずは「クオリア」までお電話(011-788-3951 午前10時~午後7時まで。不在の場合は転送になります。しばらくコールをお願いします)ください。

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